般若心経の「心」とは、呪(陀羅尼、真言)をも意味する語です。
また、サンスクリット語で心臓=重要な物を意味する「hrdaya」(フリダヤ)の訳語です。
そのため、般若心経は空観を説く経典であるとされている一方で、真言の経典であるともいわれています。
しかし、一般に、後期の密教化したものは別として、般若経典には、呪文などは含まれていません。
そこから考慮すると、この般若心経は般若経典としては極めて特異なものと言えます。
そして、最古の経典目録である梁の僧祐撰『出三蔵記集』には、「摩訶般若波羅蜜神呪一巻」「般若波羅蜜神呪一巻 異本」とあり、経としての般若心経成立以前から、先に呪文への信仰が成立していたという説もあります。
般若経典群のテーマを「空」の1字に集約して、悟りの成就をたたえる体裁をとりながらその重要性を説いて、一方、末尾に付加した陀羅尼によって仏教の持つ呪術的な側面が特に強調されています。
『摩訶般若波羅蜜経』(大品般若経)では大明品第三十二に「摩訶般若波羅蜜」という語句・概念自体が大明呪(偉大な呪文)であると説かれています。
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